法務省|法務大臣閣議後記者会見の概要【令和5年6月13日(火)】

令和5年6月13日(火)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。

入管法に関する質疑について

【記者】
 2点お伺いします。まず、入管法改正案が、先日、参院本会議で可決・成立しました。それについての受け止めと、それから、入管法改正案については、送還を拒んでいる人のうち、日本で生まれ育ったこどもの保護については、大臣は、施行までの間に検討するという趣旨のお話をされてきました。対応を検討する上で、取り分け重視するようなところをお伺いします。

【大臣】
 まず、最初の御質問ですけれども、令和4年末の時点において、送還が法的に確定していながら退去を拒否されている、いわゆる送還忌避者が4,233名になったということです。もちろん、できるだけ収容しないように、ということでありますので、収容している人は(そのうち)87名しかいないわけですが、そのぶん、逃亡された方が1,410名。要するに4,233名のうち1,410名が逃亡しています。この事態は何としても改善しなければならないということで、その改善方法がこの法律の中に盛り込まれているわけです。それから、送還をするために飛行機に乗って、そこで暴れさえすれば、また飛行機を降りてそのまま日本に戻れるということ。これも打つ手がありません。それも何とかしなければならない。そういうものを法律の中に盛り込むと。それから、ウクライナ避難民みたいに、マスコミの皆さん非常に良い表現を使われていますが、「準難民」、補完的保護です。こういう制度を新たに作って、より受け入れやすい制度設計にしているということです。それから、収容施設の医療問題がありましたので、これについては、社会一般の医療水準に照らして適切な医療上の措置を講ずるということを法律に規定した上で、常勤医師が確保しやすいように。なかなか難しいんですよ、常勤医師を確保するのは。ですから、兼業ができるようにして、できるだけ常勤医師が確保できるようにしたりですとか、それから、3か月ごとに被収容者に対しても医師の健康診断を受けるですとか、そういう大いなる前進がたくさん盛り込まれている法律だったわけです。こういう状態を放置できないということなのです。ところが、国会の審議の中では、廃案にするんだという声があって、私は大変心配しました。こういう手立てが一切打てなくなるということとなりますので、ただ、国会審議の中で、自公のみならず、日本維新の会、そして国民民主党の皆さんの賛同を得られて、無事に成立したということで、私は大変ほっとしています。それがコメントです。
 こどもの話につきましては、これまでも重々話していますが、私は、こども本人に問題がない状態で、在留資格がないこどもは何とか救ってあげたいというふうに思っています。色々今精査をしていますが、やはり一刀両断になかなかできない、そういう複雑な状況にもありますので、できるだけ早く結論を出せるように精査をしていきたいということに現時点では尽きるわけでありますので、もう少しお待ちいただきたいと思います。

【記者】
 改正入管法について引き続きお願いします。(本月)8日の参議院法務委員会で、15項目の附帯決議が自公、それから維新、それから国民民主党の賛成で採択されたことについてお伺いしたいと思います。法文を運用するための留意点のほか、例えば、難民認定手続の透明性、公平性を高める措置を検討し、十分な配慮をすることなど、広範な点について、更なる措置や十分な配慮を求めています。大臣のお受け止めと、どう対応されるのか、お聞かせください。
 それから、附帯決議にかかわらず、法の施行に向けて、政令、省令等、更に詰める重要な点もあると思いますが、その点も併せてお聞かせください。

【大臣】
 法案審議の過程におきまして、難民調査官や難民審査参与員の審査や研修の在り方、未成年の送還忌避者などに対する在留特別許可の在り方、収容に代わる監理措置制度の運用の在り方など、様々な事項について御指摘を頂いております。また、衆議院においては、条文の修正まで行われて、参議院のほうで、附帯決議がなされているということです。
 附帯決議の中では、例えば、「難民等の認定申請を行った外国人に対し質問をする際の手続の透明性・公平性を高める措置について検討を加え、十分な配慮を行うこと。」といったものを頂いているわけです。
 法務省としては、法案審議における御指摘については、真摯に受け止めていきたいと思っていますし、その趣旨を踏まえて、改正法の施行に向けて準備を進めていきたいというふうに思っているところです。

【記者】
 入管法の関連でお伺いしたいです。今回、法案審議の中で、一部からですけれど、かなり入管に対しての厳しい批判が寄せられているという状況ではあったと思います。今後どうしていきたいかというところの質問ですけれども、今後、批判的な一部の人たち、本当に一部の人たちだと思いますけれど、あとはそうではない一般の方たちに対して、入管という行政に対しての信頼を高めていくために、大臣としてどういう指揮を執っていくか、どういう取組が必要になってくるかというところをお伺いしたいと思います。

【大臣】
 私は、今回の議論を通じて、私は今まで大臣になるまでは、法務行政にそれほど深く携わっていたわけではないので、入管について、今回、初めて内部の実態まで含めて、色々な現実に触れることができたわけです。色々な御意見があるのは、確かにあるだろうと思いますけれど、ただ一つだけ皆さんに申し上げたいと思いますのは、色々な「こういう事例があるじゃないか。」、「こういう事例があるじゃないか。」という御紹介があります。我々は難民申請の審査とか、やる過程の中で、その方の個人情報に大いに触れます。そして、それをもし我々が説明できれば、もう少し世の中の人が理解してくれるのではないかというふうに思うことも多々ありました。しかし一方で、行政手続上知り得た個人情報ですとか、企業秘密ですとか、そういうものを行政の側から、「この人はこうなんですよ。」とか、そういうことを公の場で表明するということは、やはり適切ではないというふうに考えていますので、したがって、「個別の案件にはお答えできません。」という答弁をせざるを得ない。そうすると、「隠しているんじゃないか。」みたいな印象が出てきます。私は、入管の人たちが全く完璧であると言うつもりはありませんけれど、ただ相当一生懸命やっていますけれど、今申し上げた構図の中で、説明ができないがゆえに、誤解を招いている部分も相当あるということを、この間、初めて入管行政に携わる中で感じているということは、お伝えしておきたいというふうに思います。

(以上)



出典:法務省 Webサイト
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00420.html