厚生労働省|雇用政策研究会報告書 概要~ 多様な個人が置かれた状況に関わらず包摂され、活躍できる労働市場の構築に向けて~

労働供給制約下で展望される今後の労働市場

  • 日本の総人口は、2040年には現在の9割に減少し、65歳以上がおよそ35%を占めると推計されている。労働力人口は、1人あたりの実質経済成長や労働参加が現状から進まないと仮定した場合には6,002万人となる一方、経済成長と労働参加が実現した場合には6,791万人となることが見込まれる。このような労働市場を実現するには、多様な個人の労働参加の促進と経済成長を実現するための労働生産性の向上が重要。
  • 人手不足については、労働需要量に対し労働供給量が追いついていない「労働需要超過型の人手不足」、求人と求職のミスマッチによって生じる「摩擦的な人手不足」、職場環境や労働環境が個々の労働者の制約に対応していないことや、企業側が求めるスキルを有する人材の不足による「構造的な人手不足」といった類型が考えられ、処遇の改善等を通じた労働参加の促進、労働市場のインフラ整備、職場環境の改善や人材育成の強化等のそれぞれの類型に合った処方箋が必要。
  • これまでの雇用政策では、労働者が企業に雇用されることに向けた施策の充実が図られてきた面があるが、人手不足が深刻化する中にあっては、労使の適切なコミュニケーションを通じて、企業が労働者に選ばれる環境をつくる能力を高めることが重要。

多様な個人の労働参加

  • 多様な個人の労働参加に向け、長時間労働を是正するとともに、様々な選択肢が提示できる雇用管理への転換が必要。
  • ミドル・シニア世代の人材活用に向け、ワーク・エンゲージメントを下げないような取組みや、地域に貢献し地域と繋がるような仕組みの強化が重要。
  • 家庭等の事情に関わらず希望する働き方の実現に向け、職場・家庭の役割分担の見直しへの社会的な気運の醸成が必要。さらに、個々の労働者の健康状態に合わせ対応できる職場環境の整備も重要。
  • 地域の人手不足への対応として、地域間でのマッチングの促進を通じ、地域の担い手を確保することが必要。
  • 外国人労働者への対応として、選ばれる国であり続けるよう、キャリアアップが見込める等の雇用環境の整備や、日本の受入制度と送出国のニーズ等の調和に向けた戦略的対応が重要。



出典:厚生労働省 Webサイト
https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/001293132.pdf