厚生労働省|加藤大臣会見概要(令和5年8月1日(火)10:40~10:53 省内会見室)

(令和5年8月1日(火)10:40~10:53 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣: 冒頭2件申し上げます。まず今日の閣議で、令和5年版厚生労働白書を報告しました。今年の白書は「つながり・支え合いのある地域共生社会」と題して、単身世帯の増加や新型コロナウイルス感染症の影響による人々の交流の希薄化等を背景とする、ひきこもりやヤングケアラーといった複雑化・複合化した課題等に対し、制度の垣根を超えた支援やデジタルの活用状況等を分析した上で、ポストコロナの時代に対応した新たな「つながり・支え合い」の形を提示しています。厚生労働省としては、世代を超えた「居場所」づくりやデジタルを活用した交流等による「つながり」の創造、人々の意欲・能力が十分発揮できる「支え合い」の促進等により、国民が安心して暮らしていける「地域共生社会」の実現を目指してまいります。

 2点目です。令和5年6月の有効求人倍率は1.30倍と、前月から0.01ポイント低下となりました。また、完全失業率は2.5%と、前月から0.1ポイント低下となっております。求人・求職の動向や労働力調査の結果をみますと、現在の雇用情勢は、求人は一部の産業では減少がみられるものの、底堅く推移しており、緩やかに持ち直しています。物価上昇等が雇用に与える影響に留意する必要があると考えています。私からは以上です。

質疑

記者:先週の審議会で、最低賃金が全国平均で目安1,002円となることが決定しました。41円という最大の引き上げ幅となったことと、政府が目標とする初の1,000円超となったことへのご所感をお願いします。また労使双方が物価の高騰に苦しむ中、政府が考えている支援策や取組などがありましたらあわせて教えてください。

大臣:令和5年度の最低賃金改定の目安については小委員会が5回にわたって開催され、最終的に28日に中央最低賃金審議会においてとりまとめられました。目安どおり改定された場合、全国加重平均は1,002円となり、41円(4.3%)の引上げとなります。今年の骨太の方針においては、最低賃金については全国加重平均1,000円を達成することを含めて、公労使三者構成の最低賃金審議会でしっかりと議論を行うこととされたところであります。今般、審議会においても先ほど申し上げたとおり小委員会を5回にわたって開催していただくなど真摯に議論を深めていただき、過去最高の引上げとなったものと受け止めております。今後は都道府県労働局に設置された地方最低賃金審議会で議論が進められることになりますが、その場においても引き続き真摯な議論が行われることを期待しております。今年度の目安額は最低賃金が消費者物価を一定程度上回る水準である必要があること、これまで取り組んできた地域間格差の是正を引き続き図ること等を特に考慮して検討されたものであること、こうしたことが公益委員の見解でも示されているところです。そうした点にもご配慮いただきたと考えております。また、中小企業が賃上げしやすい環境の整備が必要です。厚生労働省としても、これまで業務改善助成金などにより支援を行ってまいりましたが、今回の答申においても、生産性向上支援や価格転嫁対策の徹底といった要望が盛り込まれたところです。これを踏まえ、関係省庁と連携しながら対策について検討を進めていきたいと考えています。また、物価高への対応については、既に骨太の方針でも示されておりますように、これまでの施策や今年度予算の執行に全力を尽くすとともに、物価や経済の動向を踏まえ、今後とも機動的に対応していきたいと考えております。

記者:厚生労働白書について伺います。冒頭のお話しでもありましたが、今回はつながり・支え合いのある地域共生社会をテーマとしました。今回、つながり・支え合いを強調された狙いと意義について、改めて大臣のお考えをお聞かせください。

大臣:我が国の今の社会保障を取り巻く状況を見ると、孤独・孤立の課題等が大変大事なポイントだと考えております。従来から指摘されておりますように、人口減少や世帯構成の変化等を背景として、ひきこもり、あるいはヤングケアラー等こうした現象が生じているわけですが、これら複雑化・複合化した課題が顕在化したものと認識しております。更には、新型コロナウイルス感染症の影響等により、人との接触が希薄になってきたということも加わり、孤独・孤立の課題が一層深刻化、顕在化していると考えております。また同時に、今回のコロナの対応の中でそうであったように、孤独・孤立というものは誰か特定の方に発生するわけではなく、誰においても起こりうるものだということです。これに対応するために行政の支援を整備していくということも必要ですが、同時に地域において多様で包摂的なつながりや支え合いの関係を広げていくことが重要であると考えております。このため、自分や周りの方々に支援が必要となったときに、地域で安心し、つながりを持ちながら生活できる「地域共生社会」の構築のためにどのような取組が求められていくのか、こういったことを具体的にお示しして、例えば、包摂的な「つながり・支え合い」の創造といった点では、いわゆる色々な方が交差する「居場所」づくり、あるいは属性を問わない支援、更にはデジタルを活用した「つながり・支え合い」の創造。また人々の意欲や能力が十分発揮できる「つながり・支え合い」の推進としては、例えば労働者協同組合法が先般成立いたしましたが、そういったものの活用、あるいは「社会的処方」、こういった様々なツールがあります。こういったものの積極的な活用が図られることが望ましいのではないかと考えています。是非白書をお読みいただきながら、国民の皆様や関係機関の皆様方が身近な地域における「つながり・支え合い」の重要性、そしてそれを構築していく必要性を改めて認識し、また既にある様々な取組を十分活かしていただきたいと思っております。

記者:マイナンバーカードと健康保険証の一体化についてお伺いします。来年秋に健康保険証を廃止するとしている方針をめぐって、廃止時期の先送りや資格確認書の期限の見直しなど、さまざまな検討が行われていると報じられていますが、現在の政府内の調整状況はいかがかでしょうか。

大臣:6月、総理から、来年秋の保険証廃止への国民の不安を重く受け止めており、現行の保険証の全面的な廃止は、国民の不安を払拭するための措置が完了することを大前提として取り組むと発言されたところですが、こうしたことも受けて、現在厚生労働省でも誤った紐付けに関するチェックをそれぞれの機関にお願いし、今大車輪でチェックしていただいているところです。また実際、現場においても色々な課題が出てきております。上手くマイナンバーでは機能しなかった場合の取扱いなどについても既に定め、今日から新たな運用が全てのところで進めており、こういう対応をとらせていただいているところです。また具体的な内容についても、関係者の声や意見を伺う中で検討していくということを総理が仰られておりました。資格確認書の運用等についても、今我々の中において議論させていただいているところです。資格確認書は、マイナ保険証による受診ができない方を対象に、必要な保険診療が受けられるように交付するものですが、有効期限については先般から申し上げているとおり、法律上規定はありません。省令等で運用が決められるということですが、そうした運用について、保険者等の関係者をはじめとして様々な方々からもご指摘をいただいておりますので、これも踏まえて、今内容を鋭意、精査させていただいているところです。いずれにしても、医療現場における実務上の課題、あるいは患者の皆様が利用するに当たって生じている課題、これを積極的に把握しながら、これまで生じてきた問題点も含め1つ1つの課題を的確に捉え、そして具体的な対応策を着実に実施していくことが必要であると考えております。こうした取組を通じて、国民の皆様の、この仕組みに対するご不安やご懸念の払拭を図り、安心してマイナンバーカードを健康保険証として活用していただき、それによって、より多くのご本人に関する医療情報などを踏まえ、より良い医療が提供していただける、こういった環境整備にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

記者:第一三共の開発した新型コロナワクチンについて、昨日医薬品第二部会が承認を了承しました。国産コロナワクチンで初の承認となりますが、今回のワクチンは従来株対応で、秋からの接種はオミクロン株対応のXBB対応となっていますが、国産ワクチンが初めて承認された意義を改めてどのように感じているか、また今回承認されたワクチンの活用についてはどのような見通しを持っていらっしゃるか教えてください。

大臣:第一三共が開発した新型コロナワクチン、これはメッセンジャーRNAワクチンというタイプですが、本年1月の承認申請を受けて、この間迅速な審査を進めた結果、昨日7月31日に開催された審議会において承認が了承されたところですので、近く厚生労働省として最終的な承認を行いたいと考えております。今回のワクチンは国内企業が自ら開発したコロナワクチンとして初めて承認されるものであります。新型コロナを含めた感染症に対するワクチンを国内で開発・生産できる能力を確保するということは非常に大事な観点であるとこれまで指摘を受けてきたわけですが、そういった意味においても一定の意義があると認識しております。今回承認を可とされた本ワクチンは、ご指摘のとおり従来株対応です。既に秋の接種についてはXBBを対象としてワクチンを接種するという方針が出されていることもあり、企業においては、このワクチンについて出荷をする予定がないと承知しているところですが、第一三共では現在、XBB対応ワクチンの開発も進めていると聞いており、その申請がされれば適切に審査し、対応していきたいと考えております。

記者:9月末までの予定であるコロナ病床確保料なのですが、今年夏の状況を見て今後のことを決めるということだったと認識しているのですが、10月以降の見通しあるいはそれを考えるタイミング等どのようにお考えでしょうか。

大臣:ご指摘のように今の措置は9月末までということで、それ以降については今回のこの間の対応なども踏まえて検討するということになっております。2類から5類に分類が移行される中、平時の医療体制の中でこのコロナも対応していく。これは大きな原則でありますが、しかし一遍にそこにいくということもなかなか難しいということで、今のような措置を真ん中に置いたところです。10月以降については先ほど申し上げたように、今回の対応、といっても今感染者数がちょっと増えてきている状況で、場合によってはお盆明けまでこうした状況が続くのではないかというご指摘もいただいておりますので、そうした状況、そしてその中での医療の対応ぶりなどもしっかり見極めながら10月以降について判断していきたいと思っております。もちろん10月以降の対応をそれぞれの地方自治体また医療機関でしていくためにも、それなりの準備期間が必要になるだろうと思っておりますので、その点もしっかり念頭に置いた上で、10月以降の体制について決定を図っていきたいと思います。

(了)



出典:厚生労働省 Webサイト
https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000194708_00579.html